冷たかった朝の空気がいつの間にかぬるくなっている。
6月も残すところあと数日。
またこいつを被るのかと若干憂鬱な気分になりながらヘルメットのあご紐を引っ張る。
登校する小学生の弾けた声が響く。
キーを差し込み、セルを回すと小気味よい排気音が呼応する。
街路樹の陰を踏みながら風を切って走る。
シャツの隙間から覗いてくる風はまだ少しひんやりとしている。
信号待ちでふと顔を上げると、道路の両脇に架かる吊橋を高校生の自転車が軽快に駆けていく。
太陽に照らされた白いフレームと、新緑のコントラストが眩しい。
そんな1シーンが初夏の到来を強く感じさせた今朝だった。